この秋 同期会と 寮歌祭に出て 
     落ち込んでいる ある年寄りの嘆き

土佐の海の様に 大きかった教官
が信じられない位小さく見えた
戦争中 一緒に暮らした商船学校の 卒業60年目の
同期会に出た。
海運会館に 来賓家族など 100名を超えた出席者。

来賓のトップがあの戦況切迫の中、海軍当局の特命?で派遣された泣く子も黙る 熱血 某教官。

その来場を・・・みんなが見落とした。
会が始まる寸前

「変なおぢいさん あそこにいるよ」
「どなたですか?」「○○です」 「うわァ」 という騒ぎ。 

『土佐の海』のように大きかった教官が信じられない位小さく見えた・・・ 
・・・
人生いろいろ・・・
老人の健康と生活習慣の関係
パーテイ場で見ていると 80歳の老人を 執拗に追ってくる若い日の喫煙のツケ・・・

青春の日々 二六時中 タバコをくわえていた人が
肺気腫の借金取りに 今追われ 捉まっている。

普通の階段や 登り坂でも すぐに 息切れする。

体力旺盛で 異性に超がつくほど 積極的だった
生徒ほどどういうわけか 今 無気力 無表情だ。

いち様に みんな 話が くどくなった・・・要領の悪い 回った話を繰り返し 言う。

・・・処が60年前と全然不変
若々しく話す元生徒もいた。
記憶もすばらしく 話にテンポがあり ピッチが早い。
こういう人は 立ち回りも速く 『舞の海』みたいに
動きにスビードがあり、料理だって ひとの倍たべる・・・

おかしなもので 優しかった人は年をとっても なぜかやさしい。

酸素ボンベを引く人に『立食パーティ』はさぞや つらかつた・・
肺が弱り ボンベをひっぱり 奥さんが付き添った元生徒が 3人いた。・・・みんな昔の豪傑だ。

それを宴会業者が大きな看板をたてて 男性席女性席のテーブルを遠く離して別にしたから たまらない。
気の弱い奥さんたちは はるか 離れて 夫婦生き別れ・・ボンベをひっぱっての 立食はとても 無理。

周りの同期が見兼ねて 懸命に世話をした・・・・・

『戦死』か『事故死』した時のための写真?・・・が出てきた
同期生 ひとり ひとりの 指の爪くらいの大きさの顔写真がでてきた。

学校の倉庫にあって いらないから と謂われ 貰ってきた同期が受付で渡してくれた。

入学時の純真な顔 何のために何時撮ったのか
本人は記憶がなく いろいろ憶測を呼んだ・・・
貰ってきて 大切にパソコンに入れた。 
寮歌祭と『膝の関係』
ここ数年 ボクは健康検診で 身長の計測値は
不変なのに写真に撮ると 膝が はっきり 曲がっている。
年寄りが 見た目どんどん 小さくなるのは このせいだ。

次は腰が曲がって 膝が緩む。そのくせ 膝を折って 正座ができない。 話は飛ぶが 御通夜が一番 つらくて 悲しい。

先日 恒例の『日本寮歌祭』に出た。  

『高等商船』は 出番がくると舞台で帆船の甲板磨きをする。
『タンツーかかれ・・・』の号令で
笛に合わせて エッサエッサ 這いまわる。
ところが 今年はどうしたことか 膝ばかりか 足首までが硬くなり腰がおりないのに 正直いって 大いにあわてた・・・

そんなこんなで 楽しみにしていたパーテイでは
酸素ボンベに悲しい思い
寮歌祭では 甲板磨きで 這い回れず・・・

すっかり おちこんでいる この頃である。 
                          05.10.26

表紙へ戻る